2023年2月15日水曜日

『撮りたい違いのスクリーン』あとがたり







 こんにちは。

 天草硝子という者です。


 当記事は、岩崎いずみさん主催『若鶏にこみ先生合同誌 ~本日のメニューは若鶏の~』に寄稿した、『ぎんしお少々』の二次創作小説である、

 拙作『撮りたい違いのスクリーン』のあとがたりの文となります。


 まだ読んでいない方は是非とも読んでいただけたら嬉しいです。お願いします。






 そもそもぎんしお少々の原作を読んでいない人は今このページに飛んできた人の中にはいらっしゃらないと思いますが(いやマジで)、

 そういった方はぎんしお少々1・2巻を揃えてご購入し読み終えてから、改めて上記の小説とこの記事をご覧ください。


 


 てか一先ず単行本を買ってください。

 お願いします、ひじょうに。




Attention!!!


 この記事は、ぎんしお少々の登場人物主に若葉谷セツナ、塩原もゆるについて考察していった筆者の解釈が誇大に記された内容となっており、

 原作を読んでいる貴方が保持している解釈と大きく異なっている場合は逆鱗に触れてしまう可能性がございます。

 そういった異なる解釈に拒否反応を覚える方や、そもそも原作以外を認めていない方はブラウザバックを推奨いたします。


 あと、作者自身が若葉谷セツナさんの事を「若葉谷」と呼び捨てにしている所があります。

 筆者が若葉谷セツナさんの事を好き過ぎるあまりリスペクトを込めて呼び捨てにしているだけなのですが、「忙しないなァ……」等と感じたのなら申し訳ございません。()




 ここから先、(自称)ぎんしお少々を結構読み込んでいる人間が、

 ぎんしお少々を結構読み込んでいる方向けに(自己満足満載で)書いた内容となりますので、ご了承ください。



 ご了承しましたね?GO





ずっと書きたかったんですよ、若葉谷セツナ×塩原もゆるの関係性を……


 当作品では、若葉谷セツナさん視点で塩原もゆるさんと一緒にお出かけするという話になっています。


 さて、塩原もゆる×若葉谷セツナ。

 まずどうしてこの二人の組み合わせで物語を起こしたのかというと……



 このカップリングに可能性を見出したくてたまらないんだよ!!!!!



 というより、まず自分は若葉谷セツナさんの事が大好きなんです。あとがきコメントにも載せている通り、本当に四六時中若葉谷セツナさんの事を考えて過ごしています。

 そんな中でも特に、塩原もゆるさんとの絡みがすこぶる好みなんです。

 ちょっと語りますよ?良いですか?手元にぎんしお少々15話を用意してください。この二人の関係性の良さがここに詰まっているんで……



 14話で唐突に登場し、「私の塩原さん!?」等と強烈なインパクトを残した若葉谷セツナさん。15話ではひょんなやりとりからもゆるとお出かけする事に。

 もゆるは若葉谷さんの事を「お姉ちゃんのお友達」「写真に詳しい人」だと解釈し、好印象を持って接していく。

 セツナはもゆるさんのお姉さん、塩原まほろさんとの繋がりを作りたいがために嘘をついており、後ろめたさを持ちながらもゆるさんの話を聞いていくことに。

 もゆるさんが尋ねてきたフィルムカメラについては全然詳しくなかったものの、「調べて考えるくらいは出来る」と助けになってあげる事を伝えると、もゆるさんは『ぱやー〜』と喜んでくれた。そんな様子を見て、若葉谷セツナさんは「気持ちが良い そして可愛らしい」と思ってしまう。アーーーーーーー若葉谷!!!!!!!!!!!!!!!はい

 フィルムカメラの特徴を調べ、製品品質が安定していない事を言及すると、もゆるは「撮れていたもの全部 奇跡みたいなカンジなんだ……」「本当に思い出の結晶みたい」とフィルム写真への想いを語る。そんな様子を見てセツナは、「綺麗だったりカッコよかったり そういうのを伝えるモノじゃないの」と写真についての持論を語る

 また対して、もゆるは「そうなんですか!?」と驚きを浮かべた。ここでお互いの写真・撮る事に対する認識の違いが明確に示される。

 もゆるに頼りにされている事に「ヤバ……気持ちいい……と覚えつつも(アーーーー若葉谷!!!!!!!!!!はい)、フィルムカメラの知識を全く備えてない事もあり全然意味が分からず、頭を抱えてしまう若葉谷。

 塩原さんのメッセージが分からない数ヶ月前まで塩原さん目当てで喫茶店に行ってた時もただ憧れていただけで、実際は塩原さんの事なんて全然知らないんだ、と実感する若葉谷。

 塩原さんとの明らかなる距離の遠さを突きつけられ、若葉谷はそれを飲み込んだ上でもゆるさんがお姉ちゃん離れしようとしている姿を見て、自分も無理に塩原さんに近づくのは辞めて、新しい自分にならなきゃという心持ちを抱いた。



 ……というのが15話の流れとなっております。


 いやハイ長々と語っておいてはなんですが、結論としては、

 『お互いのありのままの姿に、好印象を抱いている』という所が好きなんですよ。


 もゆるさんから若葉谷には、初めから接しやすい印象があった上で自分の悩みに親身に向き合ってくれる所に「わぁ〜ッ」と喜びを覚え、以降も好印象で接している。

 若葉谷からもゆるさんには、自分の振る舞いに対し素直な気持ちを露わにしている所に「気持ちが良い そして可愛らしい」と覚え、以降ももゆるの素直で思い遣りがある様子を見て「良い子ね……と思ったりなど、好印象で接している。


 ここで肝となっているのが、「若葉谷セツナは、今まで作中に登場してきた人物の誰とも違う心境で、塩原もゆるに接している」という事。

 もゆるさんを取り巻く人間関係について、作中のメインヒロイン……もゆるさんの主要カップリングともなっている銀さんとの関わりを例に見ていく。

 銀からもゆるさんへの印象は、初め出会った時には「怖いしニガテだと覚え、知り合ってしばらくしてからも「気持ちが悪い」と長々と悪印象を持っていたものの、交流していく事でカメラに対する自分の思いを確立する事ができ、今はもゆるの写真観を理解することが出来て、共有して過ごしている。

 しかし、銀が苦手に思ったもゆるの印象に関して、若葉谷はそこを好印象に捉えている……

 この対比が何よりも特筆的であり、自分が若葉谷セツナ×塩原もゆるの関係性を良い……!なあ!!と感じている理由の最たる元なんですよね。



 そして他にも、もゆるさんへの接し方について、銀さんと若葉谷で違うところが一つあります。

 銀はもゆると仲を深めた今、もゆるの「写る事だけが全てじゃない」という考え方に完全一致でなくても同じような心持ちを覚え、もゆるの撮りたいと思った瞬間を分かり合っている。

 対して若葉谷は、もゆるの写真観を理解できても、自分がその視点を持って写真を撮るように変容したわけでは無く、変わらず「綺麗だったらカッコよかったり」するものを中心に撮っている。


 それぞれの価値観について共通認識とする事はなくとも、お互いの考え方について『良い』ものだと認めている……というのが、作中において帰結したこの二人の関係性でした。

 ……それならば、そのカメラ観の違いをテーマにして物語を作ろう!と方針を固めて、ようやく筆を取り始め、書き連ねていきました。



若葉谷セツナ×塩原もゆるが「実際にデートするきっかけ」の創造



 前述の「カメラ観の違いをテーマにしよう!」と発起する前に、一つ塩原もゆる×若葉谷セツナで書きたいシチュエーションがあったのですが……

 構想していったものの、納得できる着地点が思い浮かばなかったり、纏めようとしても寄稿のフォーマットである4ページ内に収めるのは絶対無理そう等の問題から一旦保留にし、別の展開を考える事に。


 良い案が中々浮かばない中、初めの構想を振り返って、気付いた事が一つありまして。その物語は「若葉谷ともゆるさんの2人でデートする」という前提で組み立てられていたんですよね(まあ女子同士のお出かけは基本デートかなので)。

 デートさせるのは良いものの、その二人だけでお出かけするきっかけってどうなるん?と問題が浮かび、

 じゃあその導入を書けばええやんけ!と思い立ち、今回のようにお出かけの始まりを現した話となりました。



 そして順次、物語を構成していくことに。

 「カメラ観の違い」×「デートの導入」の2点の要素を如何に織り交ぜて話を作るか……というのが、以下の思考の流れで形成されていきました。



・若葉谷ともゆるさんの写真観の違い撮る事へのスタンスは出会った頃から仲良くなった今まで変わっていない。

15話で若葉谷が「綺麗だったりカッコよかったり そういう事を伝えるモノじゃないの」と話していたが、単行本書き下ろしでもゆしろは「写ることだけじゃない」という答えを出した。

・撮る事へのスタンスは一致しないままだけど、されどお互いの考え方を肯定していて、いい関係を築けているんだよなという前提を示したかった。

じゃあそこからどう若葉谷が干渉していくの?

→ もゆるの写真を見て、『撮影場所が全部、近所すぎる』という心境を覚えされる、というのはデートのきっかけに沿っていると思う。

若葉谷が「もっと色んな場所で撮影してみたら、もゆるちゃんの世界が広がるんじゃないかしら」とおせっかい要素を覚え、話を進めていく。

ただ、自分もそこまでグイグイいけるタイプじゃない……理由付けをしっかりして、誘おうか……と若葉谷の心情を示す。

あとはノリで。デートだ……


 どうしても二人が仲良くしている情景を作りたくっていう下心がきっかけではあったものの、原作の展開に準じた流れを綺麗に作ることができたような気がして、私としては非常に満足しております。



 あと、後書きコメントで「ふんだんに詰め込んだ内容となっております。」と記していたのですが、

 物語の構想を固める前に、『塩原もゆる×若葉谷セツナ、この二人ならどのようなシチュエーションが思い浮かぶかなァ……』と考え、思いついたものを何個かメモしており、その中の一つにこんな案がありました。


 『もゆるが自分に接してくる理由が「写真の知識目当て」である事を直感し、それをもゆるに打ち明けるも、自分も初めは「私の塩原さん」目当てでもゆるに接していたと振り返り、出会いはどうであれ、それが今のこの子との繋がりになっているんだ、と自覚する若葉谷。

 「私も……はじめはまほろさん目当てだったのよね」と苦笑いする……


 というメモ書きがありました。


 他にもこのように幾つか書きたいシチュエーションやネタを思い浮かべてはメモに残しており、「物語に組み込めそうなやつはねじ込んでしまえ……!」という心理から、ネタをいくつか詰め込んでいます。


 その最たる例なのが、『まほろさんに対しての憧れムーブメントを継続して表したくも、妹のもゆるちゃんには悟られないように……と気持ちを抑制させる若葉谷。』。

 ぎんしお少々本編で、若葉谷がもゆるさんの事を『塩原さんの妹』ではなく『もゆるちゃん』と認識するようになった……という変遷がすこぶる好きなわけでして……その情景を何度も示してしまったわけです。



 上記のようにとやかくを詰め込んだ結果、幾つか添削してまとめ上げても6,000字を超え、制限範囲となる4ページをオーバーした状態での提出となってしまいました。

 6ページの状態で構わない、と原稿をそのまま通してくださった編集の岩崎いずみさんに、改めてお礼を伝えさせていただきます。ありがとうございました、ひじょうに。




・デート先が葛西臨海公園になった理由、追体験



 さて、思い立て初めからもゆる×セツナのデートを描くぞ……と意気込んではいましたが、この二人でお出かけするなら何処になるのか?と疑問を提示し、

 普段一緒じゃない二人がお出かけしている、その理由が整っている場所……と考え、

『セツナ×かなめともゆる×銀、この二組が普段行ってなさそうな場所』『近場では無いが、気軽にお出かけできる場所』であると加味し、

 そこでパッと思い浮かんだのが葛西臨海公園でした。


 何故葛西臨海公園?と云うと、以前Twitterのフリート機能が存在し、ぎんしお少々が連載していた頃、若鶏にこみ先生がフリートで公園の立て看板の写真を揚げており、調べたところ、その写真の所在地が葛西臨海公園でありました。

 にこみ先生が写真を上げている、という事は、いずれぎんしお少々の作中でも葛西臨海公園が登場するのではないか?と考え、心半ばにウキウキに登場機会を待っていたものの、完結を迎えた今でも葛西臨海公園が舞台となる事はございませんでした。

 しかし一度葛西臨海公園⇔にこみ先生⇔ぎんしお少々、と間接的にでも繋がりがある、と捉えた一読者の私は、アッじゃあ自分が葛西臨海公園を舞台にぎんしお少々の二次創作すりゃいいじゃん!と思い立ち、舞台背景として採用したという形となっております。



2com log — 死ぬなフリート〜〜〜〜2つめ 被ってるのあったらごめん… 「ぎんしお実在背景半々論」、これは室内系背景... (tumblr.com) 

(当時のフリートのスクリーンショットが残されています。「Androidでも知らぬ間にステッカー機能付いててHAPPYじゃん」の写真です)



 そしてもう一つ、背景として要点に挙げたのが『潮見新木場駅間のカーブ』

 若葉谷×もゆるさんにデートをさせる、写真を撮ることに対する認識の違いをテーマにする……と決めていた中、物語の着地点はどういう風に定めるか……と思った時に、

 若葉谷ともゆるさんが電車で話している時に、若葉谷視点で「撮りたい」と思う情景の一つとして咄嗟に思い浮かべてもおかしくない場所、として発想したのがこの場所でした。

 

 ンイヤ改めて何故そこに??

 というのも、元は筆者自身がそこのカーブに対して特別な印象を持っていたからです。

 だってよお、幼い頃にディニーラドとかマンスタジアムとかに向かって心が弾んでいる中、道中で東京駅のクッソ深いホームに居る電車に乗って、その電車が地上に上がったと思ったら減速してでっかいカーブを描いているんですよ?印象に残りませんか??

 ……とまあ、自分が勝手に好印象に捉えていたからこそ、作中の若葉谷も『特別な景色』と捉えさせよう、という流れになったわけです。



 そこで思い出して欲しいのが、この若葉谷の心情を綴った文章。


「あれ……?ここの土地って、こんなに埋め立てられていたっけ……?あんまり地平線の海も臨めていないし……。記憶違いの景色に頭を傾げてしまう。もゆるちゃんもそう思ってるかしら?訂正しないと……


 これ、元は完全に自分の主観だったりします。下記にある通り直近に実際に伺った際、「アレ?こんな、こんなだったっけ??」みたいな心持ちになりまして……

 若葉谷の記憶にある特別な景色を示したかったのに、思ってたんと違う!と一度はショックを受けたのですが、

 あっじゃあこの心持ちを若葉谷も覚えさせて「もゆるちゃんもそう思ってるかしら?訂正しないと……と、もゆるの方を向く流れに誘導させたのは、我ながら良いアドリブだったなと実感しています。ありがとう臨海工業地帯。いやもっと地平線を臨めてもいいのよ……



 ここからは完全に余談となりますが……

 葛西臨海公園を舞台にするんなりゃ自分ももゆるさんになりきって『視点』を持たなきゃならんな!!と思い立ち、2022814日、東京ビッグサイトで開かれたコミックマーケット100二日目に行ったついでに葛西臨海公園に寄り、写ルンですを携えて、舞台背景を収めていきました。

 そして27枚全部収め切って暁にはそのまま津田沼に行って高山写真館に寄って現像してもらいにこみ先生の描き下ろしポストカードを貰ってしまおう!

 ……と臨んではいたのですが……、長時間公園内を歩き続けていると、陥ってしまいました。

 そう、熱中症です。


 やァ倒れたとか搬送されたとかそんな一大事には至っておりませんが、自覚できるほどの明らかに不自然な呼吸、水を飲んでも汗がそんなに出ない状態、2分に1回は立ち止まって休憩しなきゃ足が進まないほどの立ちくらみ……

 更にお盆の真っ最中という事もあり、肝心の水族館は行列待ちとの情報を耳に挟み、アッこの状態じゃ無理……と判断し、残りフィルムが13枚の時にリタイアし、死に体で葛西臨海公園駅に戻り、電車の中で冷やされる事に。

 されど終の目的は津田沼駅葛西臨海公園西船橋津田沼と電車を乗り継ぐ中で症状が治まる事もなく、津田沼駅構内のトイレで15分ほど息を整えた(文字列だけ見ると臭そう)のち、駅の外にある日陰になっているベンチに座り込み、45分程寝て……寝て、漸く症状が治りました。

 16時を回り、真っ直ぐ自宅に戻っても19時頃になってしまう程の時刻になってしまったため、フィルムの残りを収め切ることができないまま高山写真館に。

 ぎんしお少々のファンである事と、昨日(コミケ100一日目)にはにこみ先生と顔を合わせた事と、本日のこれまでの経緯をお話しし、

 「現像はもったいないから今度で良いですよ」と了承をいただき、ポストカードを頂きました。高山写真館さん、本当にありがとうございました……

 

 また後日、コミケと場所を同じく20221023日に東京ビッグサイトで開かれた博麗神社秋季例大祭に行った時、帰りにまた葛西臨海公園に寄る事に。

 にこみ先生の当時のフリートの場所も特定し、水族館もリベンジし(ついでにマグロの写真を撮り『マグロちゃんは食べられたい!』とツイートするノルマを達成し)、残り13枚の撮影を満了いたしました。


 またまた後日、20221230そう、にこみ先生合同を受け取った後に津田沼へ向かい、高山写真館さんにて写ルンですを現像して頂きました。

 それがTwitterのサムネイルにもしている、以下の写真達となります……

 



 いやサメ撮るの忘れとる!!!!!水族館内という暗すぎる場所での撮影を考慮してなかったせいでなんかボヤけた画像のデータがいっぱいある!!!!!

 ……ま、失敗しても記憶には残っているので、まあいいか……

 

 そして、実際に(実際ではないが……)若葉谷セツナさんと塩原もゆるさんが水族館デートした時の情景というかそのストーリーも一応事前に定めていて、

 『視点』を持った今その様子をしっかり記そう……とはしておりますが、それはまた今度のお話となります。いや出来るのか……?頑張ります……




「撮りたい違いのスクリーン」への帰結



 先の項では舞台決めとその背景について記していきましたが、こちらはストーリーについてのお話です。

 先程、物語の着地点を定める際に、『若葉谷視点で「撮りたい」と思う情景』を映したい、と記していきました。


 再三同じ事を言っているのですが、若葉谷セツナと塩原もゆるの二人において、『写真を撮る行為』の目的は異なるわけなのです。

 もゆるにとっては「日常の中にある一瞬を特別にするため」、若葉谷セツナにとっては「特別だと感じたものを残すため」。


 写真を撮る事へのスタンスは二人で違くとも、その違ったままでなにか共通する部分を示したい……と思い、その結果……

 「お互いに、相手の姿を見て『撮りたい』と思った」という流れが生まれました。



 もゆるは自分に対して思い遣りを見せてくれている若葉谷さんの事を素敵に思い、フィルムに収めようとしました。若葉谷の許可も得ずに……

 日常にまつわる機微な特異を捉えるそのフィルターは、若葉谷を捉えたというわけです。


 そして若葉谷視点。フィルムの枚数の心配もあって声を掛けたものの、もゆるから「この一枚も、いつも『撮りたい』とカメラを向けている事と変わりない」という思いを伝えられました。

 その心理……日常の一瞬の中に確かに自分の姿がある、というもゆるの示しに、若葉谷はびっくりしてしまって。

 真剣な眼差しで、ありのままであるだろう思いを語ってくるものだから、若葉谷もつい惹かれてしまったんですよね。


 そして、そのもゆるの姿・振る舞いを見て、若葉谷も「撮りたい」と思ってしまう。

 撮る事への目的は違えど、相手の姿を見て「撮りたい」と、双方に思ってしまった。そんな共通点に若葉谷は気付いて、ちょっと恥ずかしいと頬を赤らめさせる……


 ……というのが、作中終盤の心理描写の流れとなっております。



 ちょっとだけでも若葉谷からもゆるさんへの感情の矢印を見出したい……なァ……という下心がきっかけで生まれた流れでしたが、

 書き終えて何度も読み返した今となっても、思った以上にこの二人の後日談として相応しい仕上がりになったんじゃないかな?と我ながら自慢げに思っています。

 そんなにもゆる×若葉谷の後日談を想像している人は居ないって?それはそう……



 以上、物語を一通り書き終えたのが9月半ばごろだったのですが、されど作品のタイトルがまだ決まっておりませんでした。

 写真観の違い……どうすれば短い言葉に綺麗にその内容をまとめられるか、英単語で短くまとめるのが良いのか、或いは……と悩み続けて1週間ぐらい経ち、

 この「撮りたい違いのスクリーン」に決まりました。


 視点や目的が違うながらも、見える情景は同じものである……という事を端的に示したかったのですが、

 この「情景」を「スクリーン」に変更し『〜〜のスクリーン』にした方が語呂が良さそう!と思いつき、

 撮ることへの目的が違う二人、撮りたいと思ったお違(たが)いの心理二重の意味を表す『撮りたい違い』という文節を発想し、

 それをくっ付けて、最終的に『撮りたい違いのスクリーン』というタイトルに落ち着きました。



 いやァ……正直言ってこのタイトル、めちゃくちゃ良くないすか?????(自画自賛)

 以前pixivのほうに投稿したぎんしお少々二次創作小説の『言葉にできない繋がりを抱いて』もそうですが、自分はタイトルに複数の意味を詰め込むのが大好きな人間であるため、この文節を発想した時に「天才か??」と酔いしれ、

 且つそれを13音という少々短い文章で簡潔に示す事ができたのが、ようやったなと我ながら誇らしく思ってしまいます。

 あと13音だと語感が良い。「とりたいちがいのすくりーん」って声に出すの、なんか心地いいですよね。(?)



 あと、この「スクリーン」という単語には大きな愛着があり、タイトルを考えている最中に個人的にすこぶる気に入っている東方風自作曲深蒼穹さんの「朝霧のスクリーン」という曲名を見て、アッ使えそう!と連想した事も理由にあります。


【東方風自作曲】朝霧のスクリーン - YouTube


 厳密にはスクリーンは「画面・映し出されたもの」という意味であり「情景」とは違う物なのですが、まあお互いの撮りたいと思った瞬間、収められた写真の一枚と捉えればまあ適してるやろという事で……



 名前を付けて原稿を提出して頒布されてから1ヶ月経った今でもなお、このタイトルがずっと気に入っているため11回はエゴサしていたりします。

 もし作品の感想をツイート等していただけるのなら、タイトルまで書いたりすると作者の私がすこぶる喜びますので、どうか宜しくお願い致します。()




・にこみ先生合同に懸ける想い、謝辞



 さて……頒布されてからもう1ヶ月以上経っておりますが、私の寄稿を振り返ったと同時に、この合同企画へと懸ける私の思いについても記していきます。



 時は昨年、202239……ぎんしお少々25話の掲載とともに「次号最終話」の号表があったと同時に、岩崎いずみさんから当合同企画の初報が発表されました。


 元々合同企画に縁も無かった私は、初めこそ「ほーん、にこみ先生作品をテーマに……いずみさんやりますねぇ」と傍観気味で参加する気は無かったのですが、

 翌月ぎんしお少々は最終話を迎え、単行本での書き下ろしはあれどこれ以降物語の続きが読める事はない……という現実に、だんだんと心が空虚で満たされていきました。


 そんな胸中で、改めてこの合同企画に向き合い……

 「にこみ先生合同を読むまでは死なないぞ……と今年生きていく上での楽しみとして捉えるようになり、自分もSSかなにかで参加してその一端を担いたい……という思いが強まってきて、

 具体的に何を書くか決まっていない中でも、参加を決意いたしました。



 またそれより以前、ぎんしお少々24話にて若葉谷が『撮る事自体の楽しさ』を経験した過去を思い出し、それをもゆるさんが今撮っている心理に重ね、納得して笑みを浮かべる……というシーン(2巻p.96左)を見て、


「もゆるさんと若葉谷の進展具合!!!!!!!!!!!!!!!しかもさりげに若葉谷の「もゆるちゃん」呼び…………………

 いやァ……この二人がもっと色々仲良くなっている情景を見ていきたい……………………


 などと発狂しており、次第に「塩原もゆる×若葉谷セツナのSSを書きたい……なァ……という心理に目覚めていました。


 なので書きたい題材は勿論塩原もゆる×若葉谷セツナ…………と思っていたのですが、

 私自身、作品を外から観測して解説する事はできても、そのキャラクターの行動心理や考え方を完全にインプットして主観的な二次創作を描くということに若干の苦手意識というか畏敬の念を持っていまして、

 やっぱり一本の物語として書き切るまでやるのは難しいかな……と、中々最初の一歩が踏み出せずにいました。



 されど、以前投稿した『言葉にできない繋がりを抱いて』にいただいた様々な感想を思い出し、読み返したりして……

 特に、若鶏にこみ先生から提示されたこちらの怪文書は今読み返しても死ぬほど嬉しく、自身の存在価値やら承認欲求やらが満たされるため、

 「自分は二次創作を書ける……書くんだ……と、筆を執り始めるきっかけとなりました。




 あの若鶏にこみ先生の怪文書が無ければ自分は当合同に参加していないでしょうし、それどころかこのSSを書き上げていなかったと思います。

 というか、以前書いたSSも筆を執ったきっかけは若葉谷セツナさんの初登場に感化されたからなんだよな。やっぱり若葉谷……世界が若葉谷に通じる…………(支離滅裂な発言定期)



 にこみ先生の怪文書をはじめ、過去に書き上げたSSの栄光に背中を押され、

 そしてこの合同に携わり、完成されて頒布されるその瞬間を見届けるんだと先の情景に思いを馳せて、

 それがモチベーションとなり、この物語を描き切ることができました。


 そして時は過ぎ、告知にて錚々たる参加者の面々に恐れ慄き、コミケ101当日にて完成された現物を実際に手に取って……

 こんな凄まじい仕上がりの合同誌の中に、自分の寄稿した文章が載っているのを確認して……改めて、参加して良かったな……という気持ちに満たされていきました。



 改めてとなりますが、合同を企画してくださった主催の岩崎いずみさんはじめ参加者の皆様、そして原作者の若鶏にこみ先生に多大なる感謝を示したいと思います。

 にこみ先生合同に参加させていただき、本当にありがとうございました!!




・一番好きな台詞について



 さて、寄稿内容からは外れた話になるのですが、折角なので巻末のあとがきコメントに寄せられた『一番好きな台詞』についても語っていこうと思います。



 まあ、今の今まで伏せる必要も特には無かった事ですが、

 この企画、私が提案しました!!!!!!!


 岩崎いずみさんの寄稿にもあるように、若鶏にこみ先生作品の言語はセンスに溢れており、私自身放課後すとりっぷにどハマりし追うようになったのも、その言語選択や会話劇の面白さに惹かれたのが理由の一つにありました。


 そのため折角の合同企画だし、参加者からあとがきコメントと一緒に各々の好きな文章・台詞を提示していただき、それをみんなで見合ったりしたら面白いんじゃないか?と考え、

 締め切りも近かった8月の末に、急遽岩崎さんへ提案のメッセージを送らせていただきました。


 岩崎さんがその案を承諾してくださり、既にあとがきを寄せ終わっている方もいらっしゃった事もあり任意での募集となりましたが、

 まさか参加者全員からコメントを寄せて頂けるとは……皆様に敬意を示しつつ、提案した甲斐があったな、と誇らしく思っています。


 ただ、『一番好きな台詞・文章』として提案したものの、各々が印象に残っているものは必ずしも『一番好きな』ものとは合致していない、という事を他の参加者さんが選んだものを見て思ったり(例えばはかりさんの「二人だけの班やばくない?島流しかな?」を選んだ理由など)、

 また特にぎんしお少々において、台詞で表現されずとも素敵に映る表現は多く(2巻p.974p.10512等)、そういった場面を選びたい場合は関連のセリフを選んでから解説を載せる……という手順を踏まねばならなくなるため、

 この名目を台詞・文章でなく、『お気に入りのワンシーン』とかに変えた方が良かったかな……とか思ったりして、ちょこっと後悔しています。



 そんな中で私が選んだのは、放課後すとりっぷ2巻p.47より、

どこからつっこめば?私のDNA髪留めだけか?』でした。

 白石さんが林檎さんの髪留めを試しに付けてみた時、白石さんが嬉しそうに発言した「林檎さんと私に子供が出来たらこういう感じでしょうか」に対する、林檎さんのツッコミのセリフです。


 これの何が好きかって言うと

 林檎さん視点で、白石さんが突然「私と白石さんの間に子供ができる」という倫理観を跳躍した例えを繰り出してきて、

 しかも白石さんはニコニコしながら言い出すもんだから、その事象に対して喜の感情を持っているという様子が見て取れるんですよね。

 林檎さんは「子供ができるシチュエーション」「できるとした場合の容姿の表現」「嬉しそうに話す白石さんの感情」諸々のツッコミ要素に直面し、それを「どこからつっこめば?」と一斉に受け止めたのち、

 質問内容である「こういう感じでしょうか」に対する一番的確な応えとして、即座に「私のDNA髪留めだけか?」と返すという……


 簡潔ながらも趣向に富んでおり、白石さんの発言自体にも否定の意を唱える事もない、

 如何にも青野林檎さんらしく、放課後すとりっぷらしく、若鶏にこみ先生らしい文章だな……と、強く印象に残っておりました。

 放課後すとりっぷに出会ってから4年ほど経ち、ぎんしお少々の連載期間をずっと見届けた今となっても、やはりこのセリフが一番お気に入りであったため、選出いたしました。



 他に選出候補をあげるとしたら、


「ヘンタイじゃないとコロッケもらえないんですか!?」

「誰にも与えてないぞ」

「流石にそれは乳の過剰摂取で死んでしまうよ!」

「食べ物は知らないぞ?」

「死……?」「死……

……と、言えればいいのに。 言えない?」

「コーヒーゼリーはうまい」

「まあ女子同士のお出かけは基本デートか」

「お昼の話題にしてはドスケベすぎない?」

「いない」

「私なら 側にいてもいいって 勝手に思っていた?」

「人のおっぱい等を描き興奮している」

「待ってこんな公道で!公道?やめて!死んじゃうよ!!」

「あろがとうございました!!ひじょうに!」

『もぐぐ ぱっ ぴゃっ』

「良い……!なあ!!」

「なんとなく今朝の事は あたしだけのにしておきたかった」

「女子高生 難し……ッ」

「アホなのかしら」

「繋がりみたいなのは 大事にした方が良いと思う」

「こいつをファインダーにすれば いいんだ」

「もっとホントだった」

「おあいこにする気はないけれどな」

「なるほど……っ! それがまほろ味なんですね」


 とかでしたかね……(多い……

 それぞれの台詞についてもとやかく語りたいのですが、キリがないので今回は保留で……

 

 また、参加された皆様が選出したものについても解説含め拝読させていただき、それぞれ「あーー分かるわ〜〜⤴︎⤴︎」と楽しませてもらいました。

 いやはや皆様本当に、コメントしていただきありがとうございました……

 後日投稿する予定の感想記事に、そちらについても多少語ったりしていく予定ですのでよろしくお願いします




・小ネタ

 最後の最後に、作品にまつわる些細なネタを箇条書きで記していきたいと思います。



今更説明するのか?というお話ですが、

 時系列は本編終了後、2巻書き下ろしで若葉谷が喫茶店に現像写真を届けに行った日(2巻p.114)の続きとなっております。

 そのため、若葉谷の青写真の思い出についてもまだ『幼い頃に友達と撮った』という記憶に収まっております。


若葉谷が銀さんにまほろさんの部屋を撮った写真を見せてもらい「眼福だった……」と綴らせておりますが、その写真は2巻22p.753コマ目のものをベースにしており、

 「ベッドのほかに布団が畳んである鈴さんが部屋に上がり込んできている」と、鈴まほの関係性の深さが見て取れる要素には目もくれておらず、

 まほろさんの事柄に対しては盲目的になってしまうという若葉谷の姿勢を示したかったつもりでいます。


原作では、もゆるさんが行く所には自然と銀さんもくっ付いてくる……という場面が多く見られましたが、

 元々「もゆる×若葉谷をデートさせたい……なァ……」という思いからこの作品を作りはじめたので、銀さんは親戚での集まりがあった等適当な理由をつけて登場させないようにしました。ゴメンなさい……


〇水族館へ行くきっかけとした『イルミネーションショー』は…葛西臨海水族園で実際に行なっていたイベントでは無く、筆者がテキトーに考えた架空のイベントです。申し訳ございません。

 ただ一応、昨年の8月11日~14日にかけては、営業時間を20時まで延長していくつか照明を落とし、夜行性の魚の生態を観察できる『ナイトオブワンダー』というイベントを行なっていたようで、そちらに照らし合わせて若葉谷の目に留まった、という風に考えていただければと思います。


〇前作『言葉にできない繋がりを抱いて』にも組み込んだ要素ですが、ぎんしお少々の二次創作であるため「少々」という単語を意識的に多く使っております。

 また同じような意図で、若葉谷に「刹那」と言わせたら面白そうだと思ったので、言わせました。はい……


〇もゆるさんが発しそうな言葉を考え出すのには苦手意識があり、完成した今となってもあまり自信を持って送り出せた感じはしませんが、

 その中でも一番もゆるさんらしくて気に入っている台詞は「おお〜!! もう! サメ」でした。


てか自分の作品、他の方のと比べて3点リーダー多…………

 ここまで読んでくださった方々に改めて、拙い文章に最後まで付き合ってくださって本当にありがとうございました……



 以上をもって、あとがたりを終了とさせていただきます。

 にこみ先生合同本編もとい、他の参加者方の作品の感想をまとめた記事も後日投稿する予定なので、また読んでいただけたら嬉しいです。

 ここまで読んでくださった貴方様へ、本当にありがとうございました。


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