どうもこんにちは、天草硝子という者です。
私は日頃から東方風自作曲を嗜んでいる身であり、隙あらばiPhoneに移した楽曲を流して繰り返し聴いて楽しんでおります。
さて、昨年の1月に「2023年に聴いてきた東方風自作曲を語る」という記事をまとめたところ、反響のお言葉を沢山いただきました。誠にありがとうございました。
というわけで2024年版やっていこうということで、前回と同様に特に気に入った楽曲をピックアップし、紹介と感想を綴っていきます。
今回は厳密に言うと全て「2024年公開のアルバム」というわけではないのですが、「2024年に聴く機会が多かった楽曲」を対象としております。
注意事項:
私自身、東方風自作曲の音源についてどころか基本的な音楽用語すらまともに知らない人間であり、ここの音源が…とか技法…とか詳細な事柄については全然詳しく語れません。
いち東方風自作曲好きな素人の主観的で拙い文章となっておりますが、ご容赦ください。
(以下、アルバムの楽曲が頒布・公開された順に紹介していきます)
○深緑ビーストトレイル
『東方水零流 ~ Seven Period Mystical』 - hybC
https://www.youtube.com/watch?v=tn85mFhofQc&t=10s
(9:36~)
2023年の年末にYouTubeに投稿された、hybCさん作の「6面風」作品です。
『水零流』というタイトルの通り、水のように透き通った楽曲が多いのが印象的。そして「壮麗の湿原」や「幻想の池」等に顕著に表れているのですが、ピアノのメロディが綺麗に映えるような曲作りになっているな…と、素人ながらに感じました。
そんな中で一番ハマったのがこちら。
数周聴いた段階では上記の「壮麗の湿原」や「幻想の池」、ほか「海鳴讃歌 〜 Follow the Wether!!」の方が印象に残っていたのですが、全体を覚えてきた中で聴いてみると特に「なんかこれ、良いな……」と本能的に好いていました。
透き通ったピアノメインのイントロ+「リモースティアー」に次いだリズミカルなテンポに頭が馴染み、獣道を突き進んでいるような程良いワクワク感を味わいつつも、最後の盛り上がりのテンションがもう少し続いても良いんじゃないかな…!と感じるようなもどかしさを感じながらループするという……
動画内のコメントでhybCさんが「難産でした。」と語っている理由の通り、カッコつけすぎないようにする…といった塩梅の難しさが、聴いているこちら側としても表面的に味わうだけでは不完全燃焼に感じてしまう部分に繋がっているのかな…と考えたりして。
このアルバムを通しで聴いた中で一番に「もっと聴き込んで解釈したい…」と感じてしまった、謂わば中毒作用を感じるような、そんな楽曲でした。
あとものすごい個人的な理由ですが……
『自分が追っている漫画を初見実況して録音する(?)際に、前回までの状況を自分が知っている楽曲のメロディに載せて歌詞を作る』とかいうアホクソナルシストみたいな趣味にこの楽曲を使ったのもあり……非常に馴染み深い楽曲になっていました……
車の中で曲を聴きながら、ラスサビで
「伊藤葆光 顔が良い 伊藤葆光の顔が良い
伊藤ほこしゃの顔が良すぎ 伊藤ほこしゃのお顔が良すぎ」
等と歌い散らかして喉を枯らす流れを、今まで20回は経験していると思います……(アホ)
○ネバ―フローンバタフライ
stellaMaris『空之猶予詩 ~ Songs for All Weak Adolescence』 - 快晴
https://www.youtube.com/watch?v=zM77dDd5_XY
(3:17~)
快晴さん作の秘封風アルバム作品です。
快晴さんといえば、イラストでの活動も含め蓬莱人形風の作品を多く作られている印象だったので、ガッツリと秘封風のアルバムを作られるのは珍しく感じました。
ただそれも初めの印象というだけで、このアルバムを何十周とも聴いた今となれば、蓬莱人形風だけでなく多彩な芸風で素敵な楽曲を作れるんだな……と印象が更新されました。
このアルバムの中で特に気に入ったのが、「王女が愛した聖体拝領」と悩んだのですが、こちら。
イントロのめちゃセクシーなピアノソロにまず心掴まされ、4フレーズ響き終えた途端に加速し、速いテンポで焦燥感を煽ってくるように畳み掛けてくるメロディの連続が堪らないですね……
基本的にはこの4フレーズの連続+サビのメロディだけで楽曲が構成されているのですが、特にラストで同じフレーズが繰り返され盛り上がりがピークに達する所に、太古万来の東方風っぽさを感じて堪らないですね。
アルバムを通して聴いていてもこの曲が感情のピークで、精神を焦らしてくるのが堪らなく好きなんですよね……次いで「近未来的モラトリアム回顧」で浮遊感で浄化させてくるのがコンボになっていて、それもまた良き。
2023年に聴いてきた『夢幻覚病室 ~ Patients of Salpêtrière.』とはまた別方面で、重厚感のある楽曲たちで形成されたアルバムで、今でも何回も通して聴いてしまっています。
○お菓子の女王クララマリー
雛鳥クロニクル『東方菓香国 ~ Sweet Smells and Foolish Evils.』 - Burnyuho(うづきねい)
Burnyuho(うづきねい)さんがシナリオも手掛けた6面風作品の『東方菓香国』。
2023年公開の『東方風音色』や過去作品の『東方人哀篇』を味わってきた者として、公開されて早速DLして聴いていきました。
そう、いつも通りYouTubeを視聴せずに作品のコンセプトを把握していないまま……
全体を通して聴いてきて、コンセプトを把握し…… その中でも一番楽曲として気に入ったのがこちら。
1〜4面のボスのテーマと同様にどこか空想的なふわふわとした雰囲気が継続されながらも、この楽曲は特にポップでキュートで、明確な高揚が手前にあってサビではサビらしく繰り返しのフレーズが目立つ、キャラのテーマと合致して見事な少女感が出ているように感じました。
ラスサビの転調も相まって、単純に聴いてきてめちゃくちゃ盛り上がるのでつい口ずさんでしまいますね。
(というか上記の新緑ビーストトレイルと同様に、これにも歌詞を付けて歌い散らかしていたので……)
そんな風に全体的に可愛らしい楽曲なのですが、この可愛さが100%を占めているかと言われればそんな事は無く、どことなく夢や幻想に心を囚われていたり、焦燥感を感じられるような……そんなような不完全さを感じる部分が、何よりもキャラクターの設定と相乗されており……非常に好きになってしまう要因でもあるんだよなと感じています。
(同様に、そんな心境が垣間見える5面道中の「ドラジェは飴細工の玉座で踊る」も心痛むけど好きな楽曲です)
倉良毬子さんが「お菓子の女王という立場なんて虚飾だと、幻想だと分かっているけど、それでいい」と投げやりに異変を謳歌している、
その心境がこの楽曲に詰まってるんだと感じると、好いてしまっている事自体にもどかしく感じてしまうのですが……それでも、2024年で一番聴いたぐらいには好きな楽曲なのには変わりません。
○幻想離脱症候群 ~ Sweet Smells and Foolish Evils.
雛鳥クロニクル『東方菓香国 ~ Sweet Smells and Foolish Evils.』 - Burnyuho(うづきねい)
単曲動画…
https://www.youtube.com/watch?v=U970orY04Qw
そりゃ入れますよね。菓香国連投ですみませんが、これだけは2曲入れさせてください……
先程の紹介の際にあえて作品の情報を伏せておいたのですが、まだ知らない方は有無を言わずに東方菓香国の動画を観てほしい。それに尽きます。
あいや動画本編が長くて持たないようであれば単曲動画を一度再生してみて、そのイントロのおどろおどろしさに恐れ慄いてください。(強調)
1〜5面までの空想的なふわふわしい世界観から一転、6面の「幻想消失半減期」から始まり、そしてこの楽曲のおどろおどろしいイントロが流れてきて……こんなに雰囲気逆転することあるか??てぐらい世界観が変わるその驚きも相乗して、初見の段階では非常にインパクトに残りました。
そう、また何の情報も見ずにDLしたもんだから、運転しながらこの曲のイントロ聴いた瞬間に「……!? 何だこの楽曲雰囲気がおかしいぞ!?」と慌て散らかしたのがファーストインプレッション。
勿論帰ってすぐに動画を確認し、ストーリー展開とこのラスボスのコンセプトを観て絶句し、一本取られた…と頷いてしまったのも今となっては良い思い出です。
しかも続けてエンディングも似たような雰囲気、スタッフロールはこの曲のアレンジでおどろおどろしいイントロを流用しており、ストーリーの流れと同様に黒幕を倒した後でも倉良毬子さんを蝕む『依存』は延々残り続ける……という後味の悪さを演出させているのが、本当に凝っているな……と感嘆してしまいました。
こんな邪悪さを敷き詰めている事に加え、ラスサビの一番盛り上がる部分に夜空のユーフォーロマンスの笑い声を使う演出が相乗され(ヒエッ)と感じさせてきて、どこまでも純真なる邪悪さを体現してきているのが最高ですし、
次いでループ部分に差し掛かったかと思った矢先、いつものテーマ(タイトルやシルクロードアリスのアレ)が組み込まれてきて、「これは東方風自作曲の6ボス曲なんだ」と直感的に訴えてくるのがインパクトとして最強すぎる。
Burnyuho(うづきねい)さんのシナリオ構成と、ラスボスの邪悪な性質を遺憾無く楽曲に乗せて演出するという手腕に、心が押し潰された……素直に感動した……と賞賛の声を送りたくなりました。
まだ聴いていない方は是非とも上記の本編動画を一通り目を通してみてください。宜しくお願いします。
○妖怪百段階梯
MiragEden『御伽幻曲集 ~ Dreams in Parallel Phantasia.』 - 時見草
(1:45~)
えばんさん主催の東方風合作アルバム、『御伽幻楽集』。
当アルバムは2020年公開の望宙ゆずさんの「はたらけ東方風」をリスペクトしており、様々な東方風DTMerが参加されているコンピレーションアルバムとなっております。
はたらけ東方風にも参戦された方々(風雲さん、あめんさん、望宙ゆずさん等)や最近活躍されている方々加え、
匙星さん、深蒼穹さん、Pesot.jp/さん、そしてWanwanさんといった往年の東方風自作曲界隈を彩った方々も参戦しており、正しくオールスター。
そして主催者のえばんさんも6面〜ED風演出の楽曲での参戦に加え、あの「河童様の云う通り」のアレンジも収録しており、本当に聞き応えが抜群なアルバムとなっております。
というかTwitterに流れてきたXFDの冒頭で「河童様の云う通り」を流したのが本当に正解すぎて天才すぎる。アレを事前に聴いたからこそ期待値も抜群に跳ね上がり、その期待十分なアルバムに仕上がっていて、聴いていて非常に満足な気持ちでいっぱいになりました。
とまあアルバム全体を箔押ししたところで……誇張抜きで全ての楽曲が個性豊かで素晴らしいのですが、その中でも特に印象に残ったのが、時見草さんが寄稿されたこの楽曲。
聴いた雰囲気…というか音源含めて「あなたの町の怪事件」がモチーフとなっているようで、イントロから爽やかさ溢れていて掴みが良く、1:19〜(単曲)でバックで流れている部分が強調され、特にトゥルルルッ♪と巻き上がるようなピアノソロがめちゃ心地良いのなんの……
イントロからバックグラウンドで飾るピアノと、折り重なって最後には共に主張するトランペットのコンビが相性抜群で、爽快感に満たされていく。
あと曲名が良いですよね。歴史的で絢爛豪華な建造物である、文化財の『百段階梯』に妖怪を付け加えることで…
それこそダブルスポイラーのように、各妖怪が弾幕を魅せる為の舞台として流れている…そんな風景を想像させられるような、どこまで聴いていても飽きの来ない素敵な楽曲でした。
○アリスマティクドール
夢想夏月郷 『紅哀燈人形 ~ Daydream of Dozen Rose』 - 翡翠
その中でも特に気に入ったのがこちらの楽曲。(と、後述の1つ)
今までの楽曲と異なり、聴いてすぐにハイトーンでドカドカ盛り上がり、清々しく
弾幕の香りが漂うような曲調にビビっと来てしまいました。
過去の楽曲で言えば「Secret Magic」「夢の欠片、貴方の記憶」「叛逆の魔法、霽月を祈り」辺りを想起させるような感じ。こういう好き勝手暴れ散らかした曲、最近の翡翠さんでは珍しい気がしたのもあって特に印象に残りましたね。
花映塚システム作品風アルバム『アリスマティクドール』では隠しキャラ(?)のテーマ曲として最後に収録されているのもあり、ラスサビの盛り上がりの場面でより心が昂ぶる一方、「あぁ行かないで…」と哀愁を感じてしまうのも1つ大きな要点でして……
翡翠さんが楽曲を通じて醸し出す世界観が如実に表れていて、特に心に残る楽曲でした。
○哀しい黒のアリアの少女
単曲動画…
https://www.youtube.com/watch?v=mYbeuzurKLc
続いても翡翠さんの『紅哀燈人形』より。(連投)
この楽曲は翡翠さんの楽曲で感じるような「雰囲気重視」は当然の事ながら、冒頭と最後に「らーらーららーらー らーらーららー…」とコーラスが加えているのが何よりもの特徴となっています。
初めて聴いた時には「ウオォ何だァ…」と困惑し、ここまでやっていいのか…と曲調も合わさって神妙な心持ちになりましたが、これで良いんですよね。
翡翠さんが形作る「東方風自作曲」は、原作の音源や作りに近しい…という観点ではなく、東方らしき世界観を自身の曲作りで示しているのであって。
翡翠さんが楽曲に載せる「東方風自作曲の敷居・幅・許容を広げる」という行いが、この楽曲に詰まっているように感じました。
楽曲自体もメインメロディは東方っぽさを感じつつも完全に模していない部分が挟まっていて、それでも尚「こんな世界も東方風っぽいよね」と感じさせてくる曲作りが、巧くて……
そんな翡翠さんの特徴が如実に詰まった楽曲で、こちらも正しく集大成と云っていいんじゃないかな…と、ラスサビのコーラスを輪唱しながら感極まって思う次第です。
翡翠さん、お疲れ様でした。また新作を聴ける機会があれば、その時は是非とも楽しませていただきます。
○ヘヴンズ・サーベイタイム
幻想グリモワール『涅槃廻文書 ~ Artificial Heavenly Idealists.』 - 毬栗
テンポの良さ、可憐なピアノの響きに加え口笛がコーラスで挟まってきて、自然とリズムを取ってしまいます。
1:32〜(単曲)での超級ピアノメインパートや、2:12~から割り込んでくるギターも味わい深く、3分41秒間に様々な味覚を感じ取れ自然と心が豊かになっていく、そんな楽曲ですね。
そして、この曲はノリノリで柔和な感じで収まっているのですが……、アルバムを通して聴いていくと後半にかけて徐々に焦燥感というか、禁忌に触れてきているような感じがあって、神妙な気持ちになっていく…というのがこのアルバム最大の特徴。
「慧眼はスペクトルを映して」⇒「憑坐は夢と現の間に」⇒「緋色のゼラニウムを求めて」⇒「空中に沈む輝針城」て流れを一通り聴いて、心の底から「はーー……」と溜息をつきたくなる感覚に襲われる。
秘封風に限らず、アルバムってこうあるべきだよな…と納得感に包まれるのが、聴いていてとても嬉しく思いました。
関係ないですが、最近になって「寂寞幻想郷」がめちゃくちゃ好きになってきましたし、今後とも妖琳さんのアルバムを味わい深く聴いていきたいですね。
○月と魔術の明晰夢
ぽっと出風雲島『悠旧万華郷 ~ So many men, so many minds.』 - 風雲
イントロから始まり醸し出される謎めき感とワクワク感の相乗効果で次第に盛り上がってき、2週目ではいったん静まってから4:20~(単曲)でドラムがドコドコ加わってくるのも相まり、ラスサビにかけて全力で高揚していく流れが最高すぎますね。
そして何より好意的なのが、次の「夜が降りてくる」に高揚感を繋く役割としても良い曲である事。
程よくワクワクさせてきてから、「夜が降りてくる」の妖美で胡散臭いイントロが流れてきた瞬間がこのアルバムを聴いていて一番テンションがブチ上がる瞬間だと思っているので、アルバムが持つ「流れ」の重要さを大事に感じさせる、とても良い楽曲だと感じました。
○エビングハウス・レポート
ぽっと出風雲島『悠旧万華郷 ~ So many men, so many minds.』 - 毬栗
続けて、毬栗さん作曲の『悠久万華郷』のエンディング楽曲です。(連投)
「夜が降りてくる」でテンションが最高潮になってから、「花の映る塚」→「暁の大結界」でリフレッシュしながらも高揚感が続き、〆のこの曲でめちゃくちゃ爽やかに帰結してきて、満足感というか安心感を存分に感じさせるような楽曲ですね。
最後を飾る曲がこんなに疾走感抜群で、且つサビ後のメロディではエンディング特有の切なさというかもの寂しさを感じさせるのが見事。
エンディングの楽曲って、単曲で好みを判別したいと思うだけでなく、アルバム全体の雰囲気の印象を左右するような重要な役割があると思うんですよね。
先程あげた翡翠さんの「哀しい黒のアリアの少女」〜「Daydream」だったり、妖琳さんの「空中に沈む輝針城」〜「bonustrack」の流れだったり。物語の帰結の役割を持つからこそ、楽曲の雰囲気がアルバム全体の印象に根付く。
そんな役割のあるエンディング楽曲の中でも、数ある作品の中で指折りに気に入った…と言っても過言ではないため、選定いたしました。
また、「フォトニックレガシィ」もそうですが、最後のキュッ……てなる弦の音が愛おしい。この曲を聴き終えた時の充実感こそが、このアルバム好きだなぁ…と思わせてくれる要因の一つとして大きいんだよな、と感じるような、そんな楽曲でした。
○電影の凌雲閣
柊が丘『大正霊磁伝 ~ Retro-electronics exorcists.』 - Burnyuho(うづきねい)
https://www.youtube.com/watch?v=k-RpLQQuY2A
(3:08~)
柊正午さんが企画、キャラやストーリーを作成し、burnyuho(うづきねい)さんが楽曲を手掛けた東方風自作曲作品、『大正霊磁伝』。
「大正エレクトリックパンク」というジャンルの下、6曲どれも精巧な楽曲に仕上がっております。
まずアルバムの世界観設定が凄いんですよね。キャラ設定や時代背景を確立させ、あたかもその世界観にいるような雰囲気を楽曲と共に感じる事ができる。
こういった試みは6面風作品では数多く見かけられるのですが、6曲というミニアルバムの中で世界観を確立させ、一本の物語を楽曲と共に描いているのが魅力的。今までにないスタイルの作品で、感心してしまいました。
その中でも一番気に入った楽曲がこちら。
XFDを観ていただいて分かるように、この作品のボスキャラとして封獣ぬえさんがゲスト出演し、5曲目に平安のエイリアンを引っ提げて登場してくるのですが、この曲はその前哨戦、謂わば道中曲といった立ち位置。
されど聴いた感じは、東方の世界観で形作られる一般的な道中曲っぽさはそこまで無く……妖精や妖怪が通常では存在し得ない、だけども生じている異変に毅然と立ち向かうような雰囲気が存分に味わえる、まさしく大正世界の道中曲となっているのがすごいな…と感じました。
この程よいワクワク感から、最後の最後にいつものフレーズ(シルクロードアリス)を挟んで「東方」の世界に移行しつつ、おどろおどろしく不気味で激しい平安のエイリアンに繋がる流れが見事すぎる。
XFDでも本編らしい会話劇が楽しめますが、楽曲の繋ぎとしては是非とも購入して一聴してみてその良さを味わってほしいですね。(あと紙のブックレットも最高ですので)
○胎児の夢
夢想夏月郷『胎児 ~ Embryons desséchés』 - 翡翠
(視聴ページがなかったのでBOOTHのリンク)
https://mazyu.booth.pm/items/6036832
2023年にリリースされた『Talaria 〜 翼の生えた靴、或はサンダアル。』と同様に、翡翠さんが実録した楽器の音色が入っている、ロック×文学作品をテーマにしたアルバムです。
系統をもっと辿れば、『街灯星霜』の「常夏の楽園より」「脳髄」あたりが元となったノイズゴリゴリの楽曲から派生していますね。
一聴するだけではスッと耳に入ってこない、不協和音が重なって簡単には受け入れ難い楽曲ですが、慣れてしまうとその雑音具合が癖になってしまう、そんな風に感じています。
その中でも特に気に入ったのがこちらの楽曲。
昨年紹介した「翼の生えた靴、或はサンダアル。」をリフレインさせるような、ゆったりとしたリズムながらも音圧の重厚感に慄いてしまうような楽曲ですね。
ドラムやベースの存在も相まって、聴いていると自然とリズムを取ってしまう。ほいで2:15~(単曲)辺りで発露してくる高音のテルミンでまた脳汁が溢れ出す。気づけばドラムに合わせて自然とリズムを取っていて…。正しく中毒性の塊みたいな楽曲でした。
○旧卯東京周遊バイパス
でんパス屋『草色の東海道 ~ Retro-Perspective Trip』 - nolimis02
https://www.youtube.com/watch?v=oYrMwTKo-kU
(0:45~)
えびないさんがサークル主の『でんパス屋』の東方風ミニアルバムです。
「宇佐見蓮子の木曜天国」はえびないさんが以前に翡翠さんの合同アルバム『古星術十書』に寄稿されていたのもあって、改めてめちゃくちゃ聴いてノリノリになっていました。
その中でも特に気に入ったのが、nolimis02さんが寄稿されたこちらの楽曲。
電子的な音色が主体ながらも、「ヒロシゲ36号」を想起させるようなレトロで懐かしいような雰囲気を醸し出しているように感じ、正しくアルバムのテーマの「旧東海道」の雰囲気に合致してるなと感じました。
特筆したいのが2:50〜(単曲)、3:18〜からの発狂パート。様々な楽器、音色が程よく混ざり合いつつもメインであるピアノのメロディが主張して響いていた中、この発狂パートではこんなにテクノポップな音源をふんだんに響かせていて…
驚かされつつも、雰囲気はそのままに保たれており、つい踊りたくなるような気持ちになる楽曲です。
○リフレッシングマッド
小魅矢餓宮参道『邪師儺頗ノ奏 ~ Pursue the truth』 - みゃが
改めて覚えた今だと、楽曲のメロディの構成の仕方が完全に東方風だよな…と気づきを得られたのも面白かったですね。
このアルバムに触れたのをきっかけにみゃがさんの過去作品も聴き始めたら、結構どっぷりハマってるのが今の現状ですね……
みゃがさんの楽曲って、どれも中毒性がめちゃんこ高いんですよね。メインメロディの作りが難解だったり、「フェスタホリックヴェスパー」のようにさも当然のように7拍子を使いこなしていたりと、馴染むのに回数は要する感じがするのですが……
覚えてしまえば、背景の複雑怪奇な音色と重なって激烈な中毒性に転移してしまうような、そんな印象です。
「緋色の冥土道」とか「アポイタカラーキテクト」とか「リドルストラクチャー」とか「王族黎明」とか「カマビストール」とか「刀噛めば霧祭り」とか「空中都市のリユニオン」とか、めっちゃ聴いており……
これからもみゃがさんの活動に期待していきたい所存です。6面風作品の最新作のBOOTH頒布も楽しみにしております。
○万霊大廳
東方信嶺譚『信嶺譚 Ⅲ』 - ななつめ
(アレンジ元? スーサイドスプライト)
信州大学の東方サークル、『東方信嶺譚』の部誌『信嶺譚 Ⅲ』に寄稿された、ななつめさんの楽曲です。
ななつめさんが寄稿されていると知り、颯爽と購入させていただいたのですが…この楽曲に出会えただけでも十分に価値を感じるほどでしたね。
タイトルの通り、この世のものではない存在が揺蕩っているろうな不穏だけど落ち着く、そんな雰囲気が楽曲に纏われててとても心地良いですね……
サビで3拍子になって特徴的なフレーズが繰り返され、最後に一度低くなりピアノがメインとなり、再度元の音階に転調して繰り返される所にシンプルにハマってしまいました。
この曲、CDでしか聴けないんとちゃうかな……共有できひんのは悲しい……と思っていたところ、同様のメロディの楽曲がsoundcloudにあったので嬉しい限り。こちらの楽曲も良きなのですが、信嶺譚の方がおどろおどろしさ抜群で好きですね……
こういったえもいえぬ不気味さと優雅さを併せ持つのがななつめさんの楽曲唯一無二の特色であるので、例大祭で新しいアルバムを味わえるのがとても楽しみです。
○あとがたり
すいません、寝ます。追記はします。
錦上京に加えて過去以上に東方風自作曲アルバムが数多く頒布される例大祭、めちゃ楽しみですね!!!!!
