2016年10月17日月曜日

ラストピア11話 感想(まんがタイムきららミラク2016年12月号)

では突然ですが、今月のラストピアの感想を話していきたいと思います。

自分は昨年のこの頃から桜Trickにハマり、その後きららミラクを毎月購読していくようになりました。桜Trick以外はほとんど知らない連載陣の中、このラストピアという作品は読んでいく内に私の心をつかんでいき、現在ではきららミラクの作品の中で桜Trickと席を並べるほどに気に入りました。

私がこの作品を好きになった理由はいくらも挙げられますが、主に以下の5つの要素が詰まっているからだと思います。

  1. 無くした記憶を巡って奔走や葛藤する姿
  2. 島の情景の美しさ
  3. 島の住民やホテルに訪れるお客さんの心温まるドラマ
  4. 丁度良いタイミングで挟まれる勢いの良いネタ
  5. 心の声は多く語らず、言葉と表情から連想させる登場人物の思い

今月のラストピアは、この5つの要素がすべて詰まっていて非常に良い出来であり、自身のTwitterでは感想をまとめきれないと思ってここに書くことにしました。この5つの要素について少々関与しながら書いていこうと思います。

というわけで、順を追って感想を書いていきます。



前回見つけた宿帳によると、リッタは10年前にもこの島、ホテルに訪れていることが判明。そこにはリッタ以外にも、自分に荷物を届けた人物であるライア・ロンネ、さらに自分の両親とおぼしき人物の名前があった。
リッタ、エミさんは過去にお互い会っているのかもしれないと感じ、よりいっそう記憶を戻そうとする意を露わにした。

突然ですがここのリッタとエミさんのやりとりで百合的に「おっ?」てなりましたが、それはいかんいかん(自己抑制)。お互い記憶をなくしている身だもの、このもやもやをはっきりさせたいのは当たり前ですよね。


十年前の島の様子を知っている人を手がかりにしたいけど、雑貨屋さんに昔のことを聞くのは失礼そうだと思い断念。ここで思い出されてる笑顔で威圧溢れる雑貨屋さんには笑いました。

そこでユーさんに手がかりを聞こうとしたが、ユーさんは「そう言われてもな~ その頃はまだ私 この姿じゃなかった かな」と発言し、それを聞いたリッタはこれ以上詮索するのをやめた。

ここでのユーさんの、やさしく、少し寂しそうに微笑んでいる表情……非常に良いです。ユーさんは内気になったり心情がもやもやしてそうな時にこの表情をします。6話10ページのエミさんから話しかけられたときの反応、9話9ページのエミさんに近づくのを逃げてしまう理由を語る時などが該当します。
ユーさんは島やホテルの過去、また記憶喪失の原因なんてものかはまだ分かりませんが、リッタやエミが探している情報を確実に持ってますよね。

以前リッタ達が島を訪れたのは10年前、その頃はリッタやエミさんも家族がいてユーさんも人間だった。もしユーさんが当時からホテルやエミさんに介入してたとしたら、ただ客観視してるだけで実際は全て知ってそうですね。
それを考えた上でリッタ、エミさんとユーさんが過去で関わりがあったかどうかを見極めさせる演出を深く追及してるんですが、どれも曖昧なものばかり。ユーさんの会話の途切れさせ方といい、こういった演出を使いこなすそと先生は超上手いと思います。


そして今回のゲストキャラ、カリンさんの実姉のアンナ・パネレイさん。カリンさん関連が出てくるとは予想してなかっです。
まず外見や性格から非常に好みです。それだけでも非常に好みなんですが、今回のこのアンナさんの一連のドラマを見てもっと好きになりました。

ホテルに訪れ、リッタ達とファーストコンタクトを取ったところから、リッタに島の観光スポットとなるような場所をせがまれ、昔家族とピクニックによく訪れていた湖へリッタと訪れる。

この湖は、アンナさんにとっての思い出の場所。エオニオ島には様々な魅力あふれる土地がありますが、アンナさんが「地味です」と念を押した小さな湖でも、アンナさんにとってはお気に入りの場所なんです。そういった個々が魅力を持った場所が詰まってるのがこのエオニオ島が魅力的に感じる所だと思っています。

そこでアンナさんが、家族に対して抱えてる思いから一歩踏み出せない人間らしい弱気を見せます。「島を出て それから一度も帰ってなかったから 今更どんな顔して会いに行けばいいのかわからないの」と……
それに対してリッタは「家族…… 会えるうちに会っておいた方がいいですよ」と発言をしました。

ここのリッタの表情も……完璧ですよね。リッタにとって自分の意識内に潜まれていない実の「家族」の存在はどれほど重要なのかを再認識しているもの。その思いから出た、リッタ自身にも言い聞かせているような言葉ですが、アンナさんには言葉の意味そのままを受け取って少しは霧が払われたんじゃないでしょうか。


リッタと共にホテルに戻ってきたアンナさんは、たまたまマノさんと遊びにホテルに来ていたカリンさんと再会して、おもわずカリンさんに飛びついてしまいます。
どれほど時間と心の距離が離れていようとも、大切に感じてしまう家族の本性。友達ができていた事にとても感動している様子を見るにも、心から大切な人は本当に大切なんだなと感じました。

ここから特に感動したのが39ページ左のカリンさんの言葉。今まで自分が見捨てた家族に悪く思われていると格印を付けてたけど、妹から発された言葉はそれを裏返すようなものでした。さらに、
「だからわたし 習いごともがんばれるの…」という、家族にとっての自分の新たな存在意義を掴まれた発言。

長年会ってなくてどう思われているかも知らなかった実妹にそんな事言われちゃ、今までの島を飛び出してからの後味が完全に吹き飛ばされて、自然と涙が流れてきますよ。その時のカリンさんのちょっと強気な反応も上手すぎて……もうここの4コマだけで非常に感動しました。こんな発言されて私も涙が出るしかありませんでした。
本当に好きだ…あったかいよ……

アンナさんが最後に見せた心からの笑顔も見たらね……好きですよ。アンナさん自体も好きになりますし、こういったドラマを持ち込んでくれた事を嬉しく思い、結局はこの作品自体へと好きが向けられてしまいます。


最後に飛び出してきたエミさんの渾身の自虐ネタとそれに反応するリッタもとても面白かったです。アンナさんとカリンさんの会話で感動してた直後にこのネタを喰らって、とても安心感を覚えました。あぁ、これもこの作品が好きになる要因の一つなんだなぁと。
マノさんが最後にすねたのも、マノさんの特徴がしっかり表されていて安心しました。




以上のように、今回は自分がこのラストピアに求めた要素が非常に詰まっていてとても満足しました。今までの話もそれぞれ要素が詰まっていて満足して読んでいたのですが、この5つの要素を網羅しているのは今回が初めてなんじゃないかと思いました。個人的に今までの話の集大成だったと言っても過言ではないです。


さて、いつもの勝手な考察……をしたいけど簡潔にします。
今回判明した、『10年前にリッタはこのホテルに訪れていた』という事実から、無くした記憶を知る手がかりとなる人物の候補が明確になりました。
それはユーさん、雑貨屋さんライア・ロンネさん。この三人が過去に起きた出来事を知る人物として深く挙げられます。
挙げられるポイントとしてはそれぞれ、ユーさんはユーさん自身ホテル(エミさん)のこと、雑貨屋さんはエオニオ島のこと、ライア・ロンネさんはリッタのこと。

さっきも言いましたが、この三人は立場柄、年齢上(失礼)などからリッタやエミが探している情報を確実に持っています。
しかしユーさんはさりげなく詮索を阻止され、雑貨屋さんは話題を逸らされる。ましてや大陸に住んでいるライアさんについては相手側からしか情報がもらえません。
この情報の内容についてはまた後日まとめますが、今後この三人からどのように情報が提示されるのかが気になります。


ラストピアは今回で11話となり、来月11月26日には待望の単行本1巻が発売されますが、おそらく1巻に収録されるのは前回まででしょう。この話が収録される2巻を待ち望んで、今はとりあえず単行本1巻を購入してこの作品をつなげていくしかありません。

というわけでここまで読んでくれた皆さん、勿論単行本を買いましょう。
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いとしさとせつなさが見られるこの島や住人達はどうなっていくのか、今後もラストピアに目が離せません。

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